2006年08月07日

◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(七)

◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(七)


◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(七)

◆◇◆「お盆」「盂蘭盆会(うらぼんえ)」、「盆と正月」日本の二大年中行事

 「お盆」は、仏教固有の行事のように考えられがちだが、そうではない。ここに、日本人の不思議さと日本文化の独自性があるような気がする。「お盆」は、正月行事などと同じように、日本人の固有の宗教観や霊魂観と、仏教でいう供養の概念が融合して、「お盆」といわれる行事になったとされている。

 また供え物を載せる容器を、かつては盆といったことから、この行事を「盆」というようになったとの説もある(盂蘭盆会から来ているとの説もあるが…)。いずれにしても、「お盆」は、日本人にとっては、「お正月」と同様に、祖霊の御霊を祀る大切な行事として、受容してきたのだ(※注1)。

 日本人は昔から、お正月やお盆に、先祖の祖霊を迎えて供養するために、色々な慣習や儀礼を伝承してきた。そうした習慣や儀礼は、意識しなくとも今の私たちの生活に深く溶け込んでいる。なにげなく、習慣として受け入れられている「お盆」には、どのような意味があるのかを考えることは(考察することは)、日本と日本人の基層(日本学)を知る上で大変重要なことである。

 お盆の行事も、正月行事同様、地域ごとに違いがあるが、本来の意味においては大きな違いはない。「お盆」は、祖霊がお盆の期間だけ家に帰って家族共々過ごし、再びあの世に旅立つまでの間の行事(祭り)という意味においては…(※注2)。

※参考Hints&Notes(注釈)☆彡:*::*~☆~*:.,。・°・:*:★,。・°☆・。・゜★・。・。☆.・:*:★,。・°☆

(※注1)「盆と正月が一緒に来たよう」という言葉があるが、まさにお盆とお正月は日本の年中行事の双璧をなす重要行事である。お正月は、室内外に注連飾りをしたり神社に参拝するというように神道的色彩の濃い行事である。しかし、お盆は、仏壇に供え物したり墓や寺に参る仏教色の強い行事とみなされている。

 しかし、この二つの行事には以外に類似する点の多いことに気付かされる。そして、実は双子の様な行事なのだ。古い正月は一月十五日である。そしてお盆は半年後の七月十五日(旧暦)だ。ちょうど半年を隔てた日付で、行事の内容も大変類似したものが多く存在する。

 例えば、門松と盆花、正月の灯明と盆の迎え火、七日正月と七夕、どんど焼きと送り火、追儺・節分と茅(ち)の輪くぐり、盆のお供えとお節料理などなど…。このようにお盆とお正月の類似から、古代には、年の初めの行事が二回あったことが窺える。すなわち春の初めの満月の夜と秋の初めの満月の夜に、祖霊が来臨し、人々は、その年の豊穣を祈っていたと考えられるのだ。

 二度ある祖霊祭り・魂祭りの区別をするため、夏の場合、先祖に供える供物を載せる器の盆をそのまま行事の名として用いられたともいう。現在では盆は仏教色が強く、正月は神道色の強い行事となっているが、これは仏教が広がって以後のことで、昔はどちらも先祖の霊を祀る大切な行事であった。今でも正月に墓参りをする地方は多くある。

(※注2)大晦日(おおみそか・おおつごもり)には、近くの神社で年越しの大祓があり、毎年、茅の輪(ちのわ)くぐりをして半年間のお祓いをする。同じように、旧暦の六月の晦日には、「夏越の祓(なごしのはらえ)」というのもあるのだが、半年をはさんで類似の行事が多いのは、古くは、夏至と冬至で一年を二分する考え方(陰陽でいえば隠遁と陽遁)が強かったからだと思う。

 同じことが、正月についてもいえる。よく「盆と正月が一緒に来た」などといわれるように、お盆もお正月も「魂祭り(みたままつり)」がもともとの起源のようだ。お正月は、歳神を迎える行事だが、歳神とは、祖霊のことである。お年玉なども、もとは年魂(としだま)といって、歳神が新しい生命力(魂)を授けてくれることであった。

 冬至から次第に昼が長くなってくること、また再び春を迎えられることに生命力の復活を感じ、感謝する節目がお正月の時季なのである。お盆の迎え火・送り火に対して、お正月はどんど焼き(左義長)などの火祭りがある。


スサノヲ(スサノオ

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Posted by スサノヲ(スサノオ) at 12:00│Comments(0)スサノヲの日本学
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